アフリカ勤務時代の現地人の同僚が研修目的で来日してまして。
彼はこれまでの人生の40年余りの間、外国と言えば地域大国の南アフリカくらいにしか行ったことないはず。彼の地では一番名声の高い大学を出ているし、日々日本人と仕事しているので、中国と日本の区別がつかないとか、下手すると中国どころかインドまで一緒くたにしているアフリカ人に比べれば余程インテリなんですが、それでも極東の日出づる国の滞在となると一大イベントです。約10日の滞在中、研修の公式日程とは別に3日ほど自由時間が取れるとかで、そのうち1日は私が東京案内してきました。
* * *
本人の希望は「スカイツリー」、「百円ショップ」、「DVDプレイヤー買いたい」。
その日は日曜日。朝7時半にホテルに迎えに行って、2000円分チャージしたパスモを渡して地下鉄を乗り継ぎ、まずはスカイツリー。すみだ水族館に寄り(海のない内陸国出身の彼の希望)、ランチはお茶の水のホテルで設定されていた食事会。午後は明治神宮、原宿・竹下通りのダイソー、新宿のビックカメラというツアーになりました。私にとってもスカイツリーは初めて。竹下通り、明治神宮は最後に行ったのはいつだったか思い出せないぐらい昔。アフリカと日本ではDVDのリージョンが違うのに、ビックカメラみたいな真っ当な店ではリージョン・フリーのDVDプレイヤーは売ってないとかの不都合はありながら、日の出から日没まで目一杯の東京観光してきましたよ。
* * *
インテリな彼なので、アフリカ人のおっかなびっくり珍道中、とはならなかったんですけど、それでもいろいろ言ってました。
・彼の国では交通手段は乗り合いバスか自家用車。僕も現地では車生活してたので、彼が「今はどんな車に乗ってるの?」と聞いてくるのも分かるんですが、「東京に住んでると車はあんまり要らないんだよ。要るときはレンタカー借りるし。」と答えてもピンとはきてない様子。でも、一日電車と地下鉄で連れ回すと、「これは非常に効率的だ。これだけ多くの人のスムーズな移動をマネージするのは車では無理だ。」とその意味を分かってくれた様子。
・「外国人観光客もいることはいるけど、アフリカ人はほとんど見ない。それより、たくさんの日本人が観光しているのが印象的。国内を観光する習慣があるのがこの賑わいの理由だと思う。」スカイツリーもたくさんの日本人の客で混んでて、それに感心した様子。言われてみれば、彼の国では親戚縁者の地元を訪ねる人はいても、単に観光目的で国内旅行するというのはほとんど聞かなかったな。
・「ビジネスの仕組みがあらゆるところに行き渡っている。お金が動き、物事が効率的に動くような仕組みがある。」これは日本に限ったことではなく、資本主義社会の国ではどこでも見られるとは思うんだけど、彼のアフリカの母国では経済活動に占めるインフォーマル・セクターの割合がとても高くて小商いばっかり、資本を投資した「事業」って感じのビジネスの活動が停滞しているので、かくも一般消費者を相手にしたビジネスが活況なことが新鮮だったようです。「日本経済は停滞が続いてるし、少子高齢化でこれからも楽観できない」と説明しても、東京の雑踏を見ている限りはそんなこと感じにくいしね。
・「どこも非常にきれいだ。」ゴミが散らかっていない、というのもあるのですが、建物や設備がきちんとしてる、たとえ古くてもメンテされていている、というニュアンスです。彼の母国の惨状からすればそうでしょう。信号機でさえ動いてないところが結構あるような街ですから。
彼の母国では経済が停滞しまくっているので、とにかく人が動き、街に活気がある様を見て、改めて経済活性化を促す環境整備、政策の重要性を認識したようでした。あまり国外に出たことはないとはいえ、その辺りの感想やはりインテリのコメントでしたよ。日本をモデルとして母国に移植することは難しいにしても、なんらかのヒントを持ち帰ってこれからのキャリアに役立てて欲しい、そう思いながら見送ってまいりましたとさ。
彼はこれまでの人生の40年余りの間、外国と言えば地域大国の南アフリカくらいにしか行ったことないはず。彼の地では一番名声の高い大学を出ているし、日々日本人と仕事しているので、中国と日本の区別がつかないとか、下手すると中国どころかインドまで一緒くたにしているアフリカ人に比べれば余程インテリなんですが、それでも極東の日出づる国の滞在となると一大イベントです。約10日の滞在中、研修の公式日程とは別に3日ほど自由時間が取れるとかで、そのうち1日は私が東京案内してきました。
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本人の希望は「スカイツリー」、「百円ショップ」、「DVDプレイヤー買いたい」。
その日は日曜日。朝7時半にホテルに迎えに行って、2000円分チャージしたパスモを渡して地下鉄を乗り継ぎ、まずはスカイツリー。すみだ水族館に寄り(海のない内陸国出身の彼の希望)、ランチはお茶の水のホテルで設定されていた食事会。午後は明治神宮、原宿・竹下通りのダイソー、新宿のビックカメラというツアーになりました。私にとってもスカイツリーは初めて。竹下通り、明治神宮は最後に行ったのはいつだったか思い出せないぐらい昔。アフリカと日本ではDVDのリージョンが違うのに、ビックカメラみたいな真っ当な店ではリージョン・フリーのDVDプレイヤーは売ってないとかの不都合はありながら、日の出から日没まで目一杯の東京観光してきましたよ。
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インテリな彼なので、アフリカ人のおっかなびっくり珍道中、とはならなかったんですけど、それでもいろいろ言ってました。
・彼の国では交通手段は乗り合いバスか自家用車。僕も現地では車生活してたので、彼が「今はどんな車に乗ってるの?」と聞いてくるのも分かるんですが、「東京に住んでると車はあんまり要らないんだよ。要るときはレンタカー借りるし。」と答えてもピンとはきてない様子。でも、一日電車と地下鉄で連れ回すと、「これは非常に効率的だ。これだけ多くの人のスムーズな移動をマネージするのは車では無理だ。」とその意味を分かってくれた様子。
・「外国人観光客もいることはいるけど、アフリカ人はほとんど見ない。それより、たくさんの日本人が観光しているのが印象的。国内を観光する習慣があるのがこの賑わいの理由だと思う。」スカイツリーもたくさんの日本人の客で混んでて、それに感心した様子。言われてみれば、彼の国では親戚縁者の地元を訪ねる人はいても、単に観光目的で国内旅行するというのはほとんど聞かなかったな。
・「ビジネスの仕組みがあらゆるところに行き渡っている。お金が動き、物事が効率的に動くような仕組みがある。」これは日本に限ったことではなく、資本主義社会の国ではどこでも見られるとは思うんだけど、彼のアフリカの母国では経済活動に占めるインフォーマル・セクターの割合がとても高くて小商いばっかり、資本を投資した「事業」って感じのビジネスの活動が停滞しているので、かくも一般消費者を相手にしたビジネスが活況なことが新鮮だったようです。「日本経済は停滞が続いてるし、少子高齢化でこれからも楽観できない」と説明しても、東京の雑踏を見ている限りはそんなこと感じにくいしね。
・「どこも非常にきれいだ。」ゴミが散らかっていない、というのもあるのですが、建物や設備がきちんとしてる、たとえ古くてもメンテされていている、というニュアンスです。彼の母国の惨状からすればそうでしょう。信号機でさえ動いてないところが結構あるような街ですから。
彼の母国では経済が停滞しまくっているので、とにかく人が動き、街に活気がある様を見て、改めて経済活性化を促す環境整備、政策の重要性を認識したようでした。あまり国外に出たことはないとはいえ、その辺りの感想やはりインテリのコメントでしたよ。日本をモデルとして母国に移植することは難しいにしても、なんらかのヒントを持ち帰ってこれからのキャリアに役立てて欲しい、そう思いながら見送ってまいりましたとさ。